■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

01.12:今大阪で話題のヨドバシカメラを見ての感想ですが、全く事情を知らずに書いてますのであまり固有名詞に固執しないで読んでください。

ヨドバシカメラ

JR大阪駅北側に話題のヨドバシカメラがオープンしました。オープン当日たまたま通りかかったのでコムサの方から入ったのですが、中は超満員で阪急ホテル側からは入場制限がされてました。

ヨドバシと言えば東京で以前からカメラの安い店として有名で、建物と言えば看板で覆われた大阪の日本橋のようなイメージを持っておりましたが、それが今回はちょっと様子が違います。コムサが入っているせいもあるのでしょうが、工事中も何回か通るたびにその高級感あふれる外観に眼を奪われ「あれ、百貨店だったかな?」と思ってしまうほどです。

ヨドバシとでんでんタウン、それぞれの建物の表情は大阪のキタとミナミの特徴が現れているようで大変興味深く思うのですが、都市のストックという観点ではどちらに軍配が上がるのでしょうか。

ヨドバシは最初の印象のように百貨店初め今後いろんな商業施設にも転換が効きそうです。オーナーが変わろうと、多少用途が変化しようと、今のやや女性的で上品なファサードは今後も駅北口の風景の一端を担うと思われ、新しくストックとしての建物ができたと言えるでしょう。

片やでんでんタウンはどうか。
こちらは雑然としたアジア的な風景でこの界隈はどんな機能の建物も許容される造りです。あまり計画性を感じ取れないのですが、電気屋初め関連する小物や、家具、飲食店などなどが個人経営に適した規模で密集しており、その積層が魅力で、ある店が変わろうと一つの建物が壊されようと全体は常に維持されるその街並みは立派な大阪のストックと言えるでしょう。

建物は単に機能だけではなく環境を形成する要因としてとらえるべきだと以前から言われており、都市では近代建築のように惜しまれつつも取り壊されていく建物とともに、周辺の良好な環境も壊されてきました。

その場所の環境形成を担う建物という意味ではヨドバシの方に軍配が上がりそうなのですが、でんでんタウンのように個々の建物と言うよりその集合体でのストックと言うのも実に魅力的ではないかと思うのです。ここに「計画」があったのかどうかはっきりしませんが、住宅地などの環境を考える場合はこちらの方がより参考になるように思います。

果たしてそうならしめている要因は何なんでしょうか?
それは建築だけでは到達できない領域かも知れないけど、今思い当たる範囲では、個々の建物と道路などの都市計画との間の隙間をもっと細かく埋めていく作業なんだろうと、そのようにも思っています。

01.11.30