■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

02.06:今月はぶつぶつ独り言を言うだけですので読み飛ばしてください。

ひとりごと

ちょっと前に「装飾」なんてタイトルで書いてしまってから何だか居心地が悪く、早いうちに書き直さなくてはと、大変気になっていました。
しかし、話はそう簡単ではなく、考えれば考えるほど頭の中を堂々巡るのみで一向に書くべき内容が見えてこないのです。
ハンドメイド、手仕事と言うものを建築はどう捉えたらいいのか?
クラフトなのかアートなのか?

そう言えば産業革命の後、近代建築の前、西欧でアーツエンドクラフト運動---Arts and Crafts Movement---が興ったと昔学校で習ったのを思い出しました。
私の教科書である森田慶一先生の「西洋建築入門」では、モリスによるその運動は当時の、19世紀末の古典やゴチックの復興など様式に準拠するデザインに異を唱えたもので、機械による様式的細部ではなく人の手による手工芸を良しとし、何より労働の喜びに溢れるものづくりが基本にあったそうです。
そしてその結果はそれまでと比べてより装飾性が少ない水平と垂直が支配する近代的建築造形に繋がっていった、とあります。

この辺り何だかわかりにくいのですが、様式から離れたところにある装飾、クラフトを良しとしたと言うことでしょうか。
マッキントッシュのヒルハウスもこの運動の成果として挙げられていますので、機械による定型的な装飾が否定され、職人の手仕事と言うかその造る人の喜びに繋がる創造的なハンドワークが大切であるということでしょうか。

それから100余年、様式が姿を消しインターナショナルスタイルがベースにある今日、またハイテックなどとも言われ、かつての産業革命の比でない速度で革新に追われる今日においては何がどう大切なんでしょうか?
以前母校では手仕事の良さを再認識したけれど、逆にそのほとんどがクラフト、手工芸で覆われたら息が詰まると感じるのは私だけでしょうか。

日々の話にブレークダウンしても、シート張りタイルの平滑な壁面と、多少不陸があるけど一個一個タイルを張り上げた壁面との訴求力の違いをどう設計に反映していけばいいのか。そしてそれは今までの話とどう繋がるのか。

こんな事をぶつぶつ、ブツブツ、butsubutsu・・・・

02.06.10