■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

03.03:とりわけ将棋が好きと言うことではありませんが・・・

羽生さんのプラン

私は羽生さんのファンです。羽生さんとは、そうあの将棋の天才と言われる羽生善治4冠のことです。昔まだ4段で少年のような顔立ちの頃(今でもそうですが)NHKの将棋を見て感動したことがあります。とりわけ将棋が好きと言うことではなく、並べ方がわかる程度なんですが、プロの将棋は定石の連続で見ていて退屈だった頃、彼の将棋だけはそうではなく、あっと思わせる手がいくつも出てくるのです。解説の米長さんの口調にも影響されたんでしょうが、大胆かつ緻密な将棋は実にクリエイティブでその1局でファンになってしまいました。

その羽生さんが7冠を達成した頃、あるTVのインタビューでの言葉も忘れられません。正確な言い廻しではありませんが、ある局面でいろんなの次の一手の選択肢があるとき、「その将棋に勝つためではなく、未来のための一手を選ぼうと思っています」とか「一つ一つの駒の力を十分引き出すために、全体の形の美しい方を選ぶ」とか、そんなことを言うのです。これはもうシビレます。

一つ一つの駒が集まってある陣形を取りその総体で自分を守り相手の玉を摘みにかける、これはルールとしての勝ち負けだけれど、部分と全体のあり方というか、それを追求しているのと同じなんだと、つまり要はプランなんです。

プランとは「部分と全体の関係を示すこと」と原広司先生の百科事典にあります。まさしく将棋はプランなんだと。
(建築の方でもっと将棋に長けてる方がおられたら掲示板などでご指摘あるいは解説いただければ幸いです)

日々建築のプランを練っているのですが、もちろん手応えがあり、自分でも納得する成果があるのですが、羽生さんならどうするのか、つまり今この物件というのではなく未来のためのプランとはどうあればいいのか?

そんな次の一手に意識的でありたいと思っています。

03.03.06