■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

03.08:感性のリフレッシュを目指して

子供の視点

子供にとって住宅とは何なんでしょうか?
幼児を含めてまだ自己が確立されてない子供たちは実にいろいろなことに影響されます。親、家族、友達、学校、近所の人、電車、そしてもちろん雨、風、空と言った自然等々、社会に存在する全てが好奇心の対象となり学習の対象となり持って生まれた先天的なフィルターを通して自己に蓄積されていきます。
無限の可能性があるとは言え子供達が体験できる範囲で人格が決まっていくとすれば毎日を過ごす住宅の影響度ははなはだ大きいと言えるでしょう。

幼児にとっては住宅とは行動範囲の全てであり、自分の足で歩くにつれ徐々にその範囲が拡大され、その内秘密の場所やお気に入りの場所を発見していくのですが、かつては自然そのものが子供の想像力に応えられる格好の先生だったのが今ではその多くを失いその役割が都市や建築に廻ってきているのです。

つまり住宅や都市は子供の想像力を育んで行かねばならない先生なのです。
自然が持つ底知れなさには到底及ばないにしても子供達の感性や精神を育んでいく必要がありその自覚を持たねばならないのです。

特に大きな出来事がなければ子供は社会に対して開いています。
接地型住居が子供には相応しいとされるのは自然と接することのみならず活動の領域を容易に社会へ展開させていけるからでもあるのでしょう。
とにかく彼ら、彼女らの感性を健全に刺激しなければならないのです。
以前幼稚園の設計の機会があったときにつくづく今の建物は大人を規準にできていると思ったものでした。

自分の設計する建物、住宅は常に子供達に評判の良いものでありたいと思います。そのために必要なのは設計者自身の子供心かも知れない、などと思う今日この頃です。
やはりよく学び、よく遊びでしょうか?
休みを取れる人も取れない人も、みなさま夏を有意義にお過ごし下さい。

03.07.31