■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

03.11:先日引き渡しした住宅で考えたことです。

都市住宅の普通・・・あぁ、木造3階建て・・・

木造サイディングの建売住宅。
相変わらず間口が狭く用途地域に関係なく敷地一杯建てられる3階建て。
外観は重厚な玄関や出窓などが付き、駐車場をその間口に取り込むためワンスパン風で少し危なっかしい。
先日引き渡した住宅はそんな建売住宅が多い一画に建てられました。

建築主のプログラムは言ってみれば3世帯住宅で、予算の関係から設計は建売仕様と言う前提からスタートしました。設計者からすると非常に悩ましい前提です。
しかし建築主ご夫婦(一番お若い第3世帯)が大変熱心に勉強され、お二人の情熱と言うか馬力というかその真摯な姿勢にリードされる形で、現代住宅の仕様を一つ一つを検証し見直していくような作業を経て、何とか答えを見つけていくことができました。

基礎、構造体、断熱、遮音、防犯など、ベーシックな仕様や機能性はグレードが高められ、要らない物は付いておらず、3世帯とも言える水回り備品や造り付け家具を入れた状態でコストも何とか60万/坪台で納まり、それは今冷静に振り返れば、何か都市住宅の新しいスタンダードを予見させるようなそんな素晴らしい内容ではないかと、少し自慢したい出来上がりです。

幸い土地は角地で、法的制約のなかでも光や風を上手く捉えることができ、内部は木のフレームを現した伸びやかで快適なインテリアが生まれており、こういう内容が木造建売住宅も含め都市住宅の普通でありたい、そんな空間性もグレードとともに設定できたのではないかと思うのです。

貧弱な空間性、あいまいなグレード設定あるいは営業上のブラックボックスゆえに住宅建設に立ちはだかるコストの壁。
徐々にではありますが一般の方々の見識も我々の努力も双方向に近づきつつある感じがしますがまだまだその溝をいかに埋めるかが住宅建設の最大のポイントのようです。
早く定着するスタンダードを確立したいものです。

しかし今の木造3階建て仕様での構造金物の多さには驚くばかりです。
何か治療中の人間の体をガチガチに固定するかのような非常に不自由、不自然な感じで、もっと現実的な木造の構造設計が開発される必要があると痛切に感じました。

みなさんはどのようにお考えですか?
今回は特にみなさまのご指摘ご指導をお願いいたします。

03.10.31