■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

05.06:最近思っていることですが。

建築の深さ

私は「深さ」という言葉が好きであこがれを持ってます。
深い洞察力、深い人間性などと言う様に、どうしたら建築にもそのような深さが備わるのかと常々よく思います。
深さとは一様や単一という中からは生まれてこず、様々なものが幾重にも幾重にも織り重なって生じる感覚、情緒とでも言えるでしょうか。

例えば色彩のグレーでも、色見本帳のN符号ではなく、幾重にもいろんな色が塗り重ねられて出来上がるグレーに惹かれます。画家の青や赤なども同様で、よくよく目を凝らしてみると思いもかけない色が重なって見えるときがあります。これが深さなのだと思うのです。

建築ではやはりデイテールでしょうか、つまり細部です。
全体を一義で決めるのではなくいろんな部分の積み重ねで全体が決定されていく様が見える、感じる、体験できるときそこに深さがあるように思うのです。

ルネサンス期の建物などを見ると古典のオーダーはその筆頭のように思います。石やレンガを積み上げただけの壁面にある約束事で作られたデイテールを貼付けることで、都市に向けた顔として深い陰影をもつ堂々としたファサードが出来上がります。

近代建築ではその様な様式的なデイテールは否定されたけど代わりに新しく光が主役になったと思います。光のデイテールと言えるでしょうか。
工場生産、大量生産を背景に素材などは単一、一様な方向に向かうようですが、新しい構造体はいろんな方向から光を導き、移ろう自然光の重なりで新しい「深さ」を獲得しました。それが白い豆腐のようなハコだと批判されても、未だに強靭な力を持ってる由縁だと思っています。

そんな、いろんな深さに憧れて四苦八苦。いままでもこれからも。

05.06.01