■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

05.08:思わず膝をたたいた話です

総合力

渡辺武信さんの本に、ある映画監督のこんな話がありました。
「この世の中で一生を賭けるに値するカッコ良い職業とは?」の問いにその人は「オーケストラの指揮者と建築家と映画監督とプロ野球の監督」と答えられたそうです。
納得!(されますか、みなさんは?)
これは約30年くらい前の話題だそうで、さしずめ昨今ならサッカー関連、漫画家、IT企業家なども入りそうですが、今の時代でも私は全くもって同感で常日頃から建築というのはいろんな監督業(個人的に好きな舞台も含めて)と似てるところがあるなと思っていました。 それは一言で言えば総合力、総合的な判断力でしょうか。

オーケストラではピアノ(正確には違うようですがご勘弁下さい)やバイオリンなど各楽器奏者。映画では役者やカメラマン、録音効果などの各スタッフ。野球なら各ポジション。それぞれ多種多様な人たちが関与しておりしかも個々の人が専門家なんです。マニュアル通り動くだけでは成立しない感性や技術を深く追求するプロフェッショナルなのです。そう言う人たちの力や個性を見抜きある時は前に出てもらいある時は後ろに控えていただく。僭越ながらその指揮をとるのです。その過程はしんどくてもみんなの力が集まれば素晴らしくないはずがありません、これは確かに一生賭けてもやりがいがあります。

そのために必要なものがその人の人間性も含めた総合力であり、みんなが付いて来てくれるために常に的確な判断、指針を示して行かないといけないのです。やはり大変な仕事だなと改めて思いますが、だからこそ素晴らしくカッコ良く、自分もそうありたいと思ってきました。

建築設計と言う職業はえてして専門職として見られ、建築界でも一部その専門性をより強化する方向にあるようですが、それはそれなんですが、逆に私は我々の日々の仕事にはあくまでも総合化と言う視点があるべきだと思っています。
単に一つの事をより掘り下げて行く事より、より広く繋げて行く事がいま大切なんじゃないかと思うのです。
そう言う意味ではこの季節仕事ばかりではだめかもしれません。
みなさま良い夏をお過ごしください。

05.08.02
05.08.08一部加筆修正