■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

05.10:「私の空間作法」より

構く

 構く(か く):くみたてる。結んでつくる
 架構(かこう):材を結合して作った構造物・・・以上広辞苑より

私は木の柱と梁で構く軸組工法が好きだ。
伝統工法にも繋がるそれはインテリアを開放し、庭などの外部空間へ連続させる一つの有効な術であると考えており、住宅を設計する機会があれば好んでこの工法を前提にしてきた。
そしてその構く様、つまり架構を見せることを大原則とした。
その家の組建て方を目に見えるようにし、その架構により内部空間に秩序を与えようと考えてきた。
木の架構は美しい。
柱の垂直線 、そこに架けられた梁の水平線、 覆われる屋根の斜線。水平と垂直の秩序、シェルターの安心感、ピンと張った緊張感。
住まいの空間の寸法と、柱や梁と言った各部材の寸法とが中にいる人間にとって丁度具合良く調和している。それらのプロポーションに美学を与えた先達の気持ちが分かるような気がする。
架構の中にいて自らも背筋が真っ直ぐとなるのはそのような伝統を無意識にも感じているからかも知れない。

「建築と社会」2001.11号

しかし在来工法の範囲でやろうと思うとどうしても部材が太くなってしまいます。もっと細くいきたいとよく思うのですが、まだ未熟なせいかいろいろ考えていくと確かな寸法を確保してしまいます。
寺社仏閣には豪壮で力強い架構が多いのですが中には鳥取の三仏寺投入堂(これはロケーションが凄く私も写真でしか知らないのですが、他にも適切な事例は多くあると思います)のように、非常に繊細で優雅な美しい架構に遭遇します。
これが伝統の力なのかと、やはり憧れを抱いてしまいます。

05.10.01