■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board(メンテでしばらく休みます)

05.12:みなさんはどんな思いで・・・

姉歯事件

また大変な事件が起きてしまいました。どう言っていいのか、呆然、ショックです。こんな事あり得ないと思いながらいろんな報道に接するにつけ話が大変生々しくその業界に我が身もあると思うと背筋が寒くなって来ます。
偽造そのものは論外だが、ローコスト、経済設計と言う言葉ががこんな形で表に出てくるのかという思いです。建築設計をやっているとこれらの言葉は当たり前のように飛び交いもちろん誰も否定しない。しかしその物言いの裏にまだこのように悪しき体質も残っていたのかと改めて認識させられました。

企業の論理として、仮にマンションをイメージしていただいて、工事費を押さえるために例えばある個室の採光が不十分になったり通風に少し支障が出たりするけどてそこは我慢して安く供給する事を優先する、これは今の一般論であろう。しかしそこには企業倫理による最低限度があるはずであり、流通経費の削減など本来のローコストも含めていろいろな場面でコストと格闘しコントロールしているのが実際であろう。我々設計界も同じである。
しかし何らかの機能面やグレードとの引き換えでは本来のローコストではなく、建物に備わるべき価値と等価のコスト把握が一般化されない故に混同されてる気がするのです。お叱りを覚悟で言えば建築にはもっとお金をかけてしかるべきであり、その認識が一般化してこそ正しいローコストの概念も出てくるように思います。

結局今は坪単価に代表されるように、あるお金で床面積をいくら確保できたのか、それで判断されてしまい、本来あるべき姿での基本コストがいまだ定着していないと改めて感じた次第です。
極端な例ですが、受け継いで使い続けられる建築と仮設建築では明らかにそのコストは変わって来る。そこを明快にしないで両者の坪単価を比較するほどばかばかしい事はない。しかし我が業界は多分そんな事もしてしまってるのだと思うのです。
今年もはや師走。最後に何か明るい話題が欲しいですね。

05.12.04