■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

07.10:やっと涼しくなってほっとしてます

読書の秋

10月に入り、あれだけ暑かった毎日がウソのように涼しくなりました。
あまりに急すぎるとは思いますがこれはこれで歓迎、いよいよ秋に突入です。
秋と言えばスポーツの秋、食欲の秋、いろんな秋がありますが今月は読書の秋で。

最近素晴らしい本を読みました。タイトルは「建築家の仕事とはどういうものか」著者は香山壽夫先生です。実は以前から買っていたのですが最近の「人はなぜ建てるのか」を先に読んで続けて読みました。その双方とも素晴らしかった。
かたち、いのち、光と影、秩序、全体性、身体、宇宙等々、理解力の浅い我々では難解になってしまう言葉を使いながら、ひたすら謙虚にひたすら真摯に一つ一つ丁寧に語りかけて来る文章は深く心の奥底に響き感動しました。

その中の一つを引用させていただくと、 建築を設計する際
究極の決定は理念ではなく身体的なものといってよい」(中略)
と前置きのうえ、
何か新しい理論や概念で、このやっかいな身体性の束縛から離脱することができたらなら、と誰しも思うことであろう(中略)しかし過激な観念が空間の身体性を乗り越えることは決してない

として、自らは身体性の側に踏みとどまってつくり続けたい、その方が困難が多い事は承知であるがその道を歩みたい、と優しげな口調ですが、実に壮大な決意を述べておられるのです。
結局いま分かるのですが、先生は古来から延々と引き継がれてる建築家の道を歩んで来られてきた。それは、確か先生もおっしゃっておられたと思うが、宗教の聖職者にも似た自己を厳しく律する道で、 私はその厳しさに心を打たれました。

どちらの本にも、その他、珠玉のような言葉、文章がいっぱい詰まってます。
秋の夜長、みなさまも味わってみられてはいかがですか?

07.10.02