■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

08.08:今月は海外シリーズで

秩序考

秩序と言えば芦原先生の名著が数ありますが、ここでは整理された街並と言う意味で使ってます。
写真はボローニャにあるサンステファノ広場です。広場と言うからにはもちろん教会が主役で、ここのサンステファノ教会は古代ローマのバシリカ時代からロマネスク、ルネサンスそして近代に至る様々な形式の教会堂がより集まっており、その複合された空間が大変エキサイテイングで素晴らしいのですが、広場に面するファサードにも大変興味をそそられました。

 
サンステファノ広場       広場に面するファサード

右側の写真がそのファサードですが各建物は高さがまちまちで開口部も不揃い、尚かつアーケードのアーチも曲率が違うのですが見事にまとまってるのです。
いやそれ以上により生き生きと躍動感溢れる魅力を感じるのです。左サイドの建物など昔の開口部と新しい窓は見事にずれ何とも軽率なデザインではないかと言われかねません。しかし不揃いゆえの複合化された豊かさとでも言うのでしょうか、それらがマイナスになってないのです。
高さや窓やアーチ、それらを揃えた状態を想像してみるとよく分かります。一定の単調子になりつまらなくなってしまう。

建築とは秩序を構築する事である。
何だかそう教えられた記憶があり、今でもそう思っているのですが、通常建築デザインの多くはいろんな要素を揃える事で単体としての美しさを追求したり、隣と繋ぎより広範な全体を示そうとしたりします。
しかしこの広場に立った時、秩序ある美しさと単調な退屈さとの境目は一体どこにあるのか、改めて考えさせられました。
壁面線、素材、そしてポルテイコそれで全てがOKとなり得るのか。

右の写真のブロック全体が再開発される事になりました。さてその建築家はどのようにデザインするのでしょうか?
それぞれがそれぞれの答えを用意するとは思うのですが、時を重ねた営みにどう勝負するか。
誰が勝つか、誰も勝てないのか。

08.07.31