■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

08.10:初めて見てきました

聴竹居

先日建築士会の見学会で昔から気になってた聴竹居を見てきました。
chochikukyo:ちょうちくきょ、と少々舌を噛みそうなネーミングですが、その漢字から来る印象がとても魅力的でそこから頭の中にはイメージが出来上がっており、さてさて本物はどうかと興味津々でした。
大山崎の駅から坂道を少し上るとそこはもう木々が生い茂る山の中、しばらくして隠れるようにその小庵はありました。

少し急な石段を上がると建物はすぐ右前にあり、土壁と木製建具の外観はイメージ通り控えめで素直なもので、もっと和風かと思ってたけどニュートラルな印象の意匠でした。
周囲を一通り巡ってみる。まだ整備が進んでないので樹木の枝葉をかき分け進むが、面格子や窓の面台など木製の綺麗なデイテールで仕上げられているが、残念ながらかなり傷んでおり早々に手を入れたい部分がかなり眼に入った。

内部はどうか。
玄関を入りその時は正面は閉じられ、左に迂回し、応接間を通り居間に入る、その瞬間に名建築特有のある感動がありました。やはりこの居間の空間が圧巻です。
薄暗い、しかし光に満ちている、何とも形容しがたい空間がそこにあり、留まらず流れていく中に和とも洋ともつかない独特の意匠がちりばめられている。
壁、天井はプレーンな和紙で仕上げられ、木造そのままの柱、梁、長押、枠と言う和のデザイン要素はさながらモンドリアンのコンポジションの如く訴えかけてくる。
暗いのに眩しい、空間を規定する光と表層のデザインが混ざり合って混乱させられながらある快感を得る、そんな印象だ。

この住宅は建築家藤井厚二の「日本の住宅」を追い求めるための実験住宅で知られていますが、今で言う環境工学の視点より、私には日本のインテリア、意匠をどうするのか、という問題意識の方がより強く感じられました。
docomomo20選にも選ばれたこの小建築。「モダン」の学習に格好の教材のように思えます。

今この聴竹居の保存活用のための活動が展開されており見学も可能です。
詳しくはこちらのHPまで。
http://chochikukyo.com/

08.10.01