■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

10.01:常々思う事

仮設

仮設:ある期間だけ臨時に設置する事
仮設建築物:一定期間後に撤去される事を前提とした建築物

みなさんは仮設と聞いてだいたいどのくらいの期間を思い浮かべますか?
1〜2ヶ月くらい、1年くらい?
今年は上海で万博がありますが万博の会期は概ね半年くらいでしょうか。
建築基準法の仮設建築物では博覧会建築に加え興行用建築、仮設店舗、仮設住宅(住宅展示場)などが定められてますが、その許可の期間は概ね1年ないしは2年です。

 
阪急百貨店地下091223撮影

写真は今リニューアル工事進行中の梅田阪急百貨店地下から1階コンコースに上がる階段です。現実の用に供してますので本設の階段とも言えるでしょうが(基準法上の扱いは分かりません)デザインや仕様は明らかに仮設です(と思います)。
あと1年程度の仮設と分かるのでまだ辛抱できる。しかしこの工事が10年計画となるとどう感じるのだろう。

突然話が変わりますが我が国の戸建て住宅はどうやら20年くらいで建て替わってるらしい。根拠が無くて恐縮ですが近所の木造建売り住宅などを見るとそうかも知れないと思う。この20年は短いのか長いのか。
税法上の減価償却の耐用年数は、建物の用途によって幅がありますが、住宅はRCで47年、木造で22年とありますので、木造の20年なら使い切ったと考えていいのか。
いやいやそんな事は無いでしょう、と言いたいのですが現実としては多分そうなんだと思います。だから街並などいつまでたっても安定せず良い住環境とならない。(ただその分非常にエキサイテイングな状況が生まれるのですが、これはまた別の話)

設計者からすると誰も20年と考えて設計しないでしょう、またどのご家族も自分の家はそれで十分だとは思わないでしょう。逆に20年を前提にするなら、仮に考えて、つまり仮設的な発想で設計を進める気がします。その方がずっと合理な部分が多いように思いますが、そう言うクライアントが仮におられても法的には仮設は実現できずやはり大きな負担がかかってしまう。でもやっぱりそれでいいのか、と言う問題に戻る。

「200年住宅」なる言葉が出て来る時代、何でこういう事になっているんだろう、と以前から思っています。何が本設で何を仮設と思えばいいのか?
問題が大きすぎて一度弊社なりに整理したいと思いながらなかなかできない頭の痛い宿題です。
どなたかご教授いただける方、おられないでしょうか?

*「仮設」の反対語として「本設」を使ってますが正しい言葉かどうか分かりませんのでご注意およびご了承くださるようお願い致します。

*先日この阪急の場所を通ったら最終形(何年有効か?(笑))になってました。参考までに写真を入れておきます(12.08.17撮影)


10.02.01
10.02.02一部修正
12.08.21追加