■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

11.06:嫌な梅雨に入りました

朝吹真理子さん

もうみなさんご存知の第144回芥川賞受賞者です。
もちろん面識はありませんが、この朝吹さんが先日新聞(産経:11.03.11)に寄稿された文章が大変興味深く、その中で特に気になった部分を今月は引用させていただきます。ちょっと長いですが・・・

「水を張った盥(たらい)にドライアイスを投げ込むと白煙のようなものがあたりに立ちこむ。正式には微粉状の氷であるらしいその白いもやもやがイメージにあたるものだとする。作品を「書く」作業は、そのもやもやを言葉に置き換えて紙に書きつけることを指す。一方、「書く」ことをめぐって書くことは、発生するもやもやに息を吹きかけ、水中のドライアイスの状態を観察することに似ている。二酸化炭素が泡音をたてている。そのひとつぶひとつぶに思考を向けることではないかと思う。」

この文章や言葉の中からいろんな事を引出したい欲求にかられました。
ちょっと違う所もありそうですが、この「白いもやもや」なんて我々には大変馴染み深いもので、それを言葉ではなく線に置換え紙に書付けているのが日々の仕事である。
では我々の場合そのもやもやに息を吹きかければ何が見えるのだろう?いや何を見たいのかが正しいか。いやいやその前にそれを見ようとしているのか?
それが大変気になったのである。
息を吹きかけその正体を見たい。やはりそれは生まれてからの原体験の連続性の中から出て来るのか、それともその時代、社会の問題意識からなのか、あるいはそんなものに捕われないもっと自由なその人に備わった感性とでもいうべき素性からなのか。
私の場合いくら探してもはっきりしたものは出てきそうもない。そこで思った。そうして探し続ける事がひょっとしたら一つの生業を成立させるものなのかと。
みなさんにも全文を読んでいただきたい文章でした。

*日付を見ると奇しくも03.11。ふと眼に入った文章に心を動かされその日に下書きしたものです。それからはそれどころではなくなりましたが。
もしお読みになっておられなければ一度全文を読んでみてください。言葉、文章がこんなにも表現力を持つのかと感嘆致しました。
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11.05.31