13.05:シリーズ最後の方です

3人の女性アーチスト3

紫舟さん
こんなに有名な方を知りませんでした。ちょっと前の情熱大陸(13.01.6放送)で始めて知り、そしてガシッと心を捕まれました。
書というものには前から惹かれるものがありいろんな書道家の作品には絵画にない魅力を感じてましたが、この人を見て書もやはり一つの枠にはまらない芸術なんだと認識しました。
放映の内容順になりますが、まずは「正」を逆さまにした作品。「いったい何が正しくて何が正しくないのか」との注釈。
筆そのものは大変力強く、正面向きで書かれたものも凄い迫力を持って迫ってくると感じましたが、微妙に違うかたちに気づかされ考えさせられてしまいます。
そして彫刻としての文字、と言っていいのかどうか、鉄だと思うのですが立体造形物に光をあてその影として文字が浮かび上がる。文章になると平面の切り抜き文字のように見えて少し残念でしたが、一文字の場合、文字と認識する前に抽象的な造形作品と感じられる素晴らしいもの。
そしてさらに何よりも画面に釘付けになったのは彼女の書く姿勢、書に向かう態度です。
書く前に心を落着かせているのか、正座したままその時を待つ。それが実際どのくらいの時間なのか分からないが、時が来て一旦書き始めるやその勢いが凄い。
どちらも勢いは驚異的だが小さな文字と大きな文字では大分印象が違う。
細い筆で小さく書く場合は、いったいどこから湧いて来るのだろう、ある一つの漢字が全く違う表情を持ちながら白い紙に書き並べられる。一文字一文字が表情豊かで繊細で、大きな紙に余白が無くなるまで、途中で止まることなく埋め尽くされる。
しかし一番驚き感動したのは太い筆での大きな文字である。
まさしく一発勝負。書き損じは許されない。
真っ白な紙に向って最初に筆を振り下ろす瞬間がきっちり撮られていたのですが、その力強さは、うまく例えられなくてもどかしいのですが、例えばあるアスリート。すでに誰もが敵わないと思うその人が、それでもさらにこつこつと自己の肉体を鍛え上げ、ここぞという時に全力を尽くす印象。
事前の静かな沈黙。ここには我々には分からない大きな葛藤があるのでしょうが、ある瞬間に吹っ切り力強く筆を降ろす。その姿が実に潔く、美しく、大きな感動を覚えました。
素晴らしかったです。

*先日大阪のパソナビルで個展がありました。その写真はこちら

13.05.01