14.05:本当に驚きました

釜石のショック

新年度が始まって早くも1ヶ月。弊社の消費税かけこみ物件もここに来てようやく落ち着きこのGW連休に竣工関連の行事を終えればほっと一息です。
振り返ればこの現場も年度末までの駆込みラッシュで、工務店さんは工程を組むのに大変苦労されたようです。それも関西はぼつぼつ落ち着くのだろう、と軽く推測していましたがどうやら大きな間違いらしい。増税のタイミングで表に出てきたように見えるが、職人不足、建築資材の高騰等の問題はもっと深いところに根があるようだ。建築界全体に及ぶ今までのツケのようなものが積もり積もって東北や関東から遥か遠いこの関西にまで及んでいるという指摘に説得力を感じている。

先日届いた日経アーキ2014.4.25号。タイトルはまさしく「どうする職人危機」タイムリーな特集である。
ページを開いて唖然とした。釜石での状況の記事である。「設計者交代」「設計やり直し」「契約変更」「入札不調」などなど、見るからにギクッと身が縮む思いの言葉が並んでいるのだ。行政と建築家や大学がうまく連携して復興を推進していて、釜石は東北復興のお手本となるだろう、と楽しみにしていたのにいったい何があったというのか。
食い入るように読みました。素晴らしい提案をしてプロポーザルを勝ち取った方々はさぞかし無念だろうと思わずにいられません。
公共工事での「設計」と「施工」分離の大原則。確かに時代とともにその背景が違ったものになってきてると思いますが、プロポーザルで選ばれ、その後も土地の人たちとのワークショップを経て全力を尽くした優れた建築家の設計がご破算となり「設計施工」での発注に切り替えられた、この事実は本当にショックで直接関係のない身にも大きなダメージを受けました。
関連して「職人の育成」に加えて「より省力化」のアイデア、工法が必要とされる記事も掲載されている。
それはそれで多いに結構なのだが、片方で家造り、もの造り、地域の営みとしてあった私たちの住まい、それが産業化され商品となって売られ、買われ、捨てられてゴミとなっている現状が頭にだぶってきて、この問題の深さに恐れを感じずにはいられません。少し気の重いGWになりそうです。

14.05.01