15.08:たまらなく暑く熱中症に注意です

曵家

曵家と聞くととても特殊な事情のもと行われる特殊な工法というイメージがありましたが、先日淡路島の伊弉諾神宮の工事を見る機会がありそこの専門の方のお話を聞いて少し印象が変わりました。
木造建築は、伝統的なものは、という注釈が必要ですが、解体して別のところでまた組み直すことができ、それは凄いことだと思うのですが、もし敷地が許せば曳く方が手っ取り早い。
それにはかなり大掛かりなハイテクな重機を駆使するのだと思ってましたがさにあらず、4tユニック車と人力でいけるようです。
小規模な貴賓殿一棟で、平屋住宅程度に軽いからと推測されますが、山止め鉄骨梁や角パイプなど普通に建築現場で使う部材に加えて移動には「コロ」が使われ、結構ローテクでマンパワー的な現場の光景は新鮮な驚きでした。


正面右から左へ。この後さらに左へ1m動いて終わり

また持ち上げるには基礎から、と思ってましたがこれも意外で、桁梁などいわゆる軒レベルの横架材を仮鉄骨から角材で持ち上げてました。戸やふすまなどを外すとオープンな造りの伝統建築。その胴体の中空部に鉄骨梁をタテヨコ井桁に通して組み、そこから束を立て宙に浮かす。その光景が何とも不思議で面白いのです。

曵家工事だけでも工期は結構長い。いったん前に引出し、斜め後ろ方向にコンクリートの基礎を造って戻し、新しく隣接する建物の1m手前でとめ、屋根の取り合い工事を終えてから最終調整移動して新しい基礎へ着地させる。
幾度か訪れましたが梅雨時の工程でタイミングが難しく肝心の動かす所を見ることができませんでしたが、あそこのものがこっちにきて後ろに下がって最後には何事もなかったように。
「建物のゆがみや土壁などの仕上げに何らかの補修が必要ですよね?」の問いには「全く不要」とのこと。
「これでなんぼくらいかかるんでしょう?」
これはとうとう聞けませんでした(汗)
阪神大震災後のジャッキアップも思い返され、結構今後に使えるのではないかと、そんな印象でした。
でも住宅ではやはり壊してしまうんでしょうね・・・

15.08.03