15.10:秋深しですね、良い季節です。

省エネ基準

先日建築関係(いろんなところから同じようなものが来ます)の郵便物が届き開けてみると「住宅省エネ基準講習会」の案内だった。新しい基準が2020年に義務化になるのでやはり勉強しておかないといけない。でも、あれっ?前になかったっけ?
すぐに見つかりました、H25年の講習会のテキスト。もう済ませていたのでホッとしましたがあまり思い出せないのでパラパラめくるはめに。ページごとに思い出して来たもののそれにつれて徐々に憂鬱な気分が。

どうもこれらの住宅施策はしっくりこない。住宅の居室の採光や換気(24時間換気含めて)シックハウスなど既にある法規の規定、そして住宅性能表示制度やCasbeeなどで定められた目指すべき基準、これらの決めごとのトータルな姿が見えてこないのです。地球レベルの環境問題を抱える今の時代に住宅をどう造ればいいのか?
それは設計者の問題である。もちろんそうです。しかしその前に法令や基準を整備しそのあり方を取り仕切る行政の役割はもっと大きい。
それはまた建築主の見識にも影響されると思っていますが、これらの基準や規定が補助金、借入金利低減、減税とリンクするとなると住まいへの意志も揺らぎかねません。
何でこんなに窮屈な縛りばかりやるのだろうか?
テキストを読んでイメージするのは断熱材を分厚くして性能のいいサッシとガラスで密閉する、そういう息苦しいもの。何だか昔のすきま風はあっても暖かい感じの家が愛おしくなってきました。

テキストには熱伝導率を計算できる材料に木材やしっくい、土壁など古い材料もあります。(茅葺きは見つけられず)
熱伝導率のデータ(数字が小さいほど良い)的には通常のグラスウールなどの断熱材の0.04W/mkと比べると土壁は0.69W/mk、天然木材は0.12W/mkと、性能では圧倒的に断熱材の勝ち。また空気層は密閉されてないとカウントされないが、断熱材の施工で生じる隙間はどうも配慮されてない?気がします。

性能は大切だと思いますし古民家や古い建物に全面賛同している訳でもありませんが、コストの成約の中、建てようとする建築主と我々設計者の思いや苦渋の決断をもっと反映できる体制にして欲しい、そう思うのです。
秋の夜長、もう少し面白いものを読みたかったです。

*備忘録として:()内等級は住宅性能表示基準
・1980(S55):旧省エネルギー基準(等級2)
・1992(H04):新省エネルギー基準(等級3)
・1999(H11):次世代省エネルギー基準(等級4)

15.10.01
15.10.05(一部修正追記)
15.10.06(一部修正追記)