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19.05:令和スタートです!

談山能

先日思いがけない貴重な体験をした。
奈良桜井市にある談山神社で奉納される談山能を見る機会に恵まれたのである。
談山神社のある多武峰(とうのみね)は観光的にはそう有名ではないと思いますが、藤原鎌足と中大兄皇子が大化の改新について談合したと言われる歴史的に由緒ある場所です。(らしいです)

その日は快晴。舞台は屋外。山間は春のうららかな日差しの中、新緑の緑と満開の桜で実に素晴らしい景色でした。

 

能は初体験。
シテ、ワキ、など演ずる人の役割もよく分からないのですが、おどろおどろしいお面をまとった主役の所作そして声は、揺るぎのない芯が一本通る強さがあり、囃子や太鼓のリズムと相まって独特な世界がそこにありました。
そして素人ながら感じたのはそのパフォーマンスは演ずる者だけではなく、陽光の日差し、木々の緑、風、ヒラヒラ舞い落ちる花びら、さらにはウグイスなど鳥の声、つまり山間の自然の中で、自然と共に神に捧げる形と言いますか、自然と渾然一体となって奉納する、そのような日本の精神を見たという思いなのです。

神が宿る山を背にして建つ建築物と屋外の能舞台。能楽という娯楽のパフォーマンスが自然と一体となる時、それが神聖なものとなり神と通ずる。
これは本当に勝手な解釈と思いますが、1日の中で、また季節ごとに変化する自然要素とピタリと合致する時、完璧な舞台となる。
まさにその時に遭遇したと勝手に感動しておりました。

観客の中には著名な方々も多く見られ、初めて訪れたこの場所のポテンシャルの強さも思い知り、全く思いがけない体験でした。

19.05.01