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20.07:続きの続き

フォースプレース

以前から我々の生活する場所についてはファースト、セカンド、そしてサードと区別され語られてきた。
ファーストは自分の家、家庭。これがまず大前提にあって
セカンド、つまり社会生活の第1歩として、大人は仕事、子供は学校ということで所属する会社や学校が一種の身分証明のごとく当たり前と考えられてきた。
しかしこれでは主婦は割に合わないし、家と会社(学校)の往復だけでもつまらない、とさらなる欲求も出て、どこか別のところで自分の、自分だけの居心地のいい場所を見つけ楽しむ時間が増え、それらはサードプレースと命名された。
定型化された同じことの繰り返しの日常に刺激を与えるサードプレースは、持てば持つほど豊かな生活につながると考えられ、まちづくり、都市計画でも焦点が当てられてきた。

そして4つ目が、もう何度も繰り返して述べてきたITテクノロジーの世界で、フォースプレースと名付けられたバーチャルな世界である。
今までは第1から3までのリアルな世界の補助的存在だった(私はそう思ってました)ものが、このコロナ禍でここぞと最先頭に躍り出た感じです。

さしあたってはそれで良い、良かったと思う。第2、第3の場所への繋がりが遮断されたが、その空白を埋めるように、家にいながらも画面に会いたい人が現れ、ともに作業も出来るようになった。さらにはSNSの範囲を超えた新たな試みやサービスは少しワクワクもする。
しかしこれで収まればそれでいいのだろうか?
新しいワクチンや治療法が見つかり、かつての第2、第3の場所に戻り、第4との新しいバランスを見つけることが「新しい生活様式」なのだろうか?

多分そうはいかないようだ。
振り返ればこれまでの生活をより便利にしようとしてきた技術やサービスの革新は、このフォースプレースの布石だった、と少し背筋が寒くなる。
いつの間にか人に会わなくなってきた。守っていくべき大切なものでも、窓口で確認ができない。まだお医者さんには会えるが、それもそのうちリモートで処理されるかもしれない。
書類書類の役所手続きをぼやいてはきたが、アカウントとパスワードが必須で窓口が閉鎖されたらどうしたらいいのか。
確実にフォースプレースのバーチャルな世界に新しい「社会」が立ち上がってきている。
そこに身を預けることが自分にはできるだろうか? 

20.07.01