24.07:梅雨到来。
瓦の屋根
以前はそう好きではなかったが最近日本建築の屋根は美しい、と思うようになった。
特に単純な平面を覆うようにして葺かれる瓦の屋根は、どっしりと重量感に溢れ品格に満ちた雰囲気が漂う。
寺社仏閣の本堂などはそのスケールを初め、威厳を保つような仰々しい反りや様式が気になることがあるが、小規模なお堂や小建築に時々驚くほど美しい屋根に出会うことがある。
今回は最近感激した二つの屋根を紹介したい。
東大寺大湯屋
その名の通り僧侶たちが湯に入って身体を清める施設のようで、その「清める」という意味から伽藍の重要施設になってる事例が多いそうだ。
ここ東大寺の大湯屋は2月堂から下ってくる裏道からの遠景が美しい。
手前にある塀が建物の胴部分を隠すように位置し、樹林を背景に屋根の軒と塀の笠木瓦の水平線が風景を引き締めており、片側だけの入母屋造と腰屋根が大変心地よい変化を与えている。
寧楽美術館
これは建築家東畑謙三による小美術館で依水園に隣接してある。
瓦なのに実に柔らかい。
これも本瓦葺きの一種だろうか、大屋根と下屋とが異なる角度(屋根勾配)で組合わされ、また瓦も違うものが使われている。
その大屋根の処理が実に見事なのである。
丸瓦が通常より平たく、より平面に近づけらてた上に、全体にむくり、棟の両端が少しお辞儀をしながら中央にきりりとスリットが切られている。
その効果は抜群で、堂々としながらたおやかで、柔らかく優しい。
建物の用途上からか鉄骨造で柱は細く、壁面は閉じてるのでそれも屋根が際立った気がしますが、こんな瓦屋根は初めて見ました。
どちらも東大寺周辺にありますので散策のついでに一度寄ってみてください。
24.07.01
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